No.543 小さな光を追う男!

 

 

曇った眼鏡の奥から 彼は睨んでいた

雨の後に 少し冷えたアスファルトの先に

他と違う小さな光が見えた気がした

その光が 疲れに効くだろうと彼は思った

 


宙ぶらりんの日々に疲れ果ててしまった

彼はその日 レッドブルを3度も吐いていた

ガソリンを無駄にする事しか脳がないエンジン

3本の缶を開いた窓に放り込んでやりたかった

 


小さな光を追いかけていくと

あまり人の通らなそうな道に出た

彼から見て右側に森があり

左側には 閉店した雑貨屋があった

 


彼は右に曲がった

光は森から出てきて 森へ帰ったと思ったからだ

しかし 森には光はなく 珍しい物すらなく

ただただ緑に塗りたくった退屈があるだけだった

 


彼はそこで力尽きてしまい

眠ってしまおうと 枯れ葉の上に身を横たえた

夜空に小さな光が たくさんあるにはあったが

彼の目蓋は音速で閉じて 睡魔も同じ速度を出した

 


加速して行き 深い深い眠りに落ちていった

彼は 自分が夢を見ていると気が付いていたが

夢の中でも 小さな光を探さずにはいられなかった

露を振り払いながら起きると 朝になっていた

 


枯れ葉が彼の疲れを土に変えてしまったのだろうか?

彼の前の日までの疲労はすっかり消えた

泥だらけになったワイシャツのまま通勤して

レッドブルを4本飲みながら 仕事をした