2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

No.177 社員

押し込んだ憂鬱を 溜め込んだ苛立ちを 二言目にその添えそうになる 後はつまんで食べてくれ 工場の隙間から 見えている景色には 灰色の膜が張り 火種になりそうなダンボール だだっ広い駐車場 真っ白なシフト表 誰も居ない 居た形跡もない ルールの中 ループ…

No.176 旅

旅をしよう 何処に行こう? 服を着よう 何を着よう? 覚めた朝 冷めた風 良い加減 飽きた街 見慣れてた 景色から 変わるには 三時間 旅をしよう 此処に行こう 夢を見よう 追いかけよう 春の言葉 尋ねたら おばさんは こう言った 「花言葉 精神美」 難しい わ…

No.175 喪失

ぶっ倒れそうな身体をベンチに座らせたこの公園には煙草の吸殻が多過ぎた捨ててあった空き缶を灰皿にして眩しい太陽から逃げるように日陰 そう はぐれてしまったのだ勤め先には 訳あって行かなくなったそれから身体は日を数えるごとに重くなるしこのままでは…

No.174 日記のようなもの(3/25)

だだっ広い場所の大きな金属錆びて こちらを向いている僕らは目的も無く歩いて来た花に止まる蜂や 屋根の上を歩く烏 そして ぶっきらぼうに積まれた大きな金属の写真を撮りながら 久し振りに煙草を買った頭はぼんやりと春を確かめていた子供の多いマクドナル…

No.172 ほんの短い家出

閉店したスーパーの前を横切る駐車場に車は当然無い目的を探して歩くけれどあてもなく彷徨う羽目になりそうだ (一人になりたい君は 寒そうな外に出かけた その後を追うわけでも無く 僕は煙草を買った 夜空に吸い込まれてゆく煙が 何故か寂しそうだ 満天の星…

No.171 従者

一日中煙草でも吸って意味の無いことを考えていたい 改札でごった返す人の波も通学路で遊ぶ賑やかな声も憂鬱な顔をして佇むビルも何も無い一日を ただ過ぎる一日を 求めながら 彷徨う頭の中は何処までも広がる空洞のようで見渡しても 音を鳴らしても果てなど…

No.170 ヒトデナシ

飛び出して行った君は何処へ行くのだろうか僕はどんな顔をして君を待っていれば良いのだろうか 僕だってまともに 人間になりたい君だってまともな 人間になりたい 逃げ出して行った君は何処へ着くのだろうか君はどんな顔して僕を待っていてくれるのだろうか …

No.169 ・

ぷちり ぷちり 千切れ 途切れ悲しいほどに 通信は途絶えただただ 時間 そして 空間一人でない時でさえ 一人に怯える 凍てついて窓の外はきっと雨模様部屋の中の常夜灯をもう少し暗くして待ちたい 雨の上がる瞬間晴れ間がそっと見えて雲たちが忘れ物を取りに…

No.168 空想癖

煙草を吸うと頭ん中ぽっかり空いてどろどろになった思想が垂れ流される日々の中で叩かれた臆病な心たちはそんな思想が嫌いなのか目を背けている ニコチン タール そんなもの全て嘘っぱちでただの紙 ただの葉っぱ そんなものでどこを見ても偽物にしか見えなく…

No.167 洗濯物

草臥れたシャツがハンガーにかかるベランダにある洗濯機は黙っている陰気な空で 健気な夢が わだかまりから 絆され 解けて 部屋干し日和 そしてまた一人数えやすい友人の顔をハンガーにかけて 黙ったままでわかりやすい記憶を探す もしも 借りた部屋の壁に夕…

No.166 街の影

煌びやかに彩られている街 着飾る人々その中に薄汚いコートを着た男が立つ虚ろな瞳で彼は何を見ているのだろうそれは誰にも知られることのない真実 かつての彼は…などと語る人もいないぼさぼさの髪を掻き毟りながら独り言誰に対してというわけでもない悪態に…

No.163 poetry

ノートは綴る詩は いつもと違う ましてや 丁寧に 慎重に 綴る詩は もっと違う 便利でない この 頼りない脳が全てまかなう どんな字体に寄せても 結局は同じ僕が綴る 埋め尽くされる空白に 名残など無く 淡々と過ぎる時間にも 名残など無く 窮屈な この頼りな…

No.162 ミルクチョコレート

夢の中で食べたチョコレートミルクの味が濃かった何度か食べた味で「またこれか」と感じていた ピーナッツのような小さな思い出のかけらと一人きりのままの自分といつかは一緒だった家族が 夢の中ではバランス良く配置されていたから僕は打ち明け話をした今…

No.160 冬は過ぎて春になる

愛では語り尽くせない気持ちを円に近い多角形のような気持ちを長い長い小説の最後までのページのような気持ちをそのページをゆったりとめくってゆく気持ちを 君に伝えられたらどれだけ幸福なことだろう僕は何に関しても遠回りでやけに難しい言葉ばかり吐いて…

No.159 何よりも大切な時間

なんでもない朝に盛大にクラクションが鳴った僕は雨の降る街から隠れるように眠る君の隣で煙草を吸っている 穏やかに流れる朝の時間がもう少しで溶けて消えてしまうからより近付いて君を覚えていよう今日の夜にまた出会える時まで 二人で暮らすには狭すぎる…