2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

No.129 分別できない朝に

何色に染めても黒く仕上がるなら羽ばたく白い鳩もいつかは染められてしまう すがることさえ出来ずに一人膝を抱えるなら冷たく白い瞳もいつかは気にならなくなるだろう 忘れてしまいたい全てを忘れてしまった時に大切なものと区別が出来ずに思い出そうと必死…

No.128 腐りゆく

小鳥さえずる向こうの山は 目前の木に雄大さを奪われ 忘れ去られた首吊り死体を 目前の木に影として映す 移動して来た彼は体を揺らし 小鳥のさえずりに答えようとする 僕は部屋からそれを見て 笑って涼しい午後を過ごす 鼻をくすぐる腐敗臭が 木の葉の緑にラ…

No.127 ある日の彼

照らされる薄墨の山を濃墨の木が切り取る鼠色の空を烏が切り取る 山々に近付いても美しさを感じられず緑色の退屈を感じる 壁に向き合い独り言の練習「空が低すぎて重苦しい」 潰されそうに小さな犬は庭ではしゃぐ猫が羨ましい 飛び立ちそうに大きな猫は車の…

No.125 加工写真と詩

ツイッターに載せたのですが、ブログにも載せます。 高校の時から凝っているもので、加工した写真に詩を載せたものです。

No.124 8月25日

わかってはいてもわかりたくないこと 自分では変えられないもの それが自分のためにならなくても まとわりついて離れないこと 普通を装わなければいけない日々 仮面を代わる代わる付け替えなければいけない 僕は誰なのか 誰が僕なのか わからなくなる日々の…

No.123 猫 男

巨大な猫が捨てられたブラウン管から飛び出して目に飛び込んでそれっきり髭が生えて耳が頭の上に乗った男には常に巨大な猫が喋りかけて付きっきり 「大丈夫か顔色悪いぞ頭痛いのか?」「お前やけに息が荒いがどうした?」男の心配は巨大な猫だけだったのだが…

No.122 いつかの君

僕は君に手を引かれて 嘘みたいに晴れた小径を歩く 木の葉が太陽に照らされて ゆらゆら揺れているから僕は眠くなる 君が教えてくれたアイスは美味しい 君が連れて行ってくれた場所は楽しい だから僕は眠い目をこすって 君の手を握りしめて歩いて行く 僕より…

サイトに載せた詩 No.1

サイトの方に詩を載せたのですが、ブログにもその詩を載せようと思います。 サイトの行き先がわかるかたは、サイトの方も遊びに来て下さると凄く嬉しいです。 poetry 【1】 静まった街に群れとはぐれた男が一人何もせずに地面ばかり見ている彼に空ばかりが話…

No.121 六時

毎朝六時に目覚めて部屋の掃除をする彼の心の中は散らかったままだったがこの行動で少しだけ整理されていって有意義に時間を活用していると感じる 彼は寝つきが悪くて身体を壊していたもう少し眠る方が良いのかも知れないだが埃が徐々にちりとりにたまる度に…

No.118 あなたの夢

夢を見ていた それはそれはグロテスクな夢を ただあなたはそこで微笑んでいて わずらわしいことから全て解き放たれて ウジに食われていた それはきっとテレビ番組の影響で カメラに切り抜かれた悲惨さを頭が覚えていたからだろう だから目覚めた時にそれを悪…

No.114 pulp

俺は素足でフローリングの冷たさの上でクタクタになったTシャツを着ていた 耳の中が腐ってしまうほど突き刺したイヤホンが苦しそうにもがいている フローリングの冷たさを感じながら耳掻きでゴソゴソと相談していたら 聞き慣れた声が俺のことを呼んでいると…

No.113 遠くに行きたい

悲しみを追い越して寂しさを誤魔化して耳の中から頭の中へ脳の中から頭痛の元へ 車の免許も無いくせに君と海まで行きたいんだバイクの種類も知らないけれど君と遠くに行きたいんだ 馬に乗って 星になって風が吹いて 僕を運んで君を待って 寄り添って手を繋い…

No.112 性の船

涙も出ないほど悲しい性 夢も見れない苦しい性 妄想の中の抑え切れない性 やがて沈みゆく船のような性 どれも同じ人物の中で同じように収まる性 コップから溢れそうな水の上を悲しさや苦しさを抑え切れない船に乗る 性はまとわりつく衣のようで汗を吸わない…

No.111 短い散歩

気取った花が語りかける「そんな顔をしてどこへ行く?」寝不足で白い顔の僕は答える「君のいないところに行くさ」 湿ったアスファルトが濃い灰色で不貞腐れている水溜りは鏡のように雲を映し僕の不機嫌な靴を描いている 切符を買っても宛先知らず電車に乗っ…

No.110 落書

ガラスの中の観葉植物が土に反抗する時は鳴り止まない電話を切るように眠れば良い 蛍の光が届かない夜になったらペットボトルの中に水を入れて猫を避ければ良い 方位磁針の気まぐれを聞き過ぎて飽きたらオイルの切れたライターを擦り続ければ良い 灰になった…

No.106 シケモク

湿気った煙草は重苦しくて美味い 悩ましい考えごとの結果は意味も無い スクラップブックのようなアルバムの 行けなかった卒業旅行が煙になる 笑顔だらけ切り取って貼り付けて 良かったなんて思えるはずも無い 全て雨に濡れて湿って錆びて仕舞えば良い 屑鉄の…

No.104 顔のない僕

何者でもないと嘆く時 何者かが僕を戒める 「格好良くない みっともない」 それじゃ僕は行き場がない 何事でもないと信じても 何事かは起こり続けて 「愛想良くない 君を見たくない」 それじゃ僕が生きられない 小さな小さな 部屋に閉じ込めた方が 簡単に素…

No.103 陰干し

疑問符ばかりが張り付いて 君の顔は強張っている 跡形もなく消し去りたい その疑問符を剥がしたい やけに思い出が重なるから ミルフィーユのようにフォークで切って その切り口の見事さを笑って 君と平らげてしまいたい 君に出来ることを数えて 僕が出来ない…

No.102 宙に浮かんで

酒に頼ることも出来ずに 自堕落を気取ることも出来ずに ただただ寝れずに図に乗るばかり だらだら汗だけ垂れている 矛盾は無限に広がってゆき やがて覆い尽くす満天の星 夢見るだけ夢見た後は 夢見たことを恥じている もっと単純におろそかに出来たなら 僕は…

No.100 8/6

白と黒では決められない偽善の色は透明な灰色で吐いて捨てるような煙と包まれた布のような言葉 太陽に照らされて火照るアスファルトに手を当て目玉焼きを頭の中で作る熱さと痛みは歪んでゆく どうしようもない人々のどうしようもない気持ち何を考え何を感じ…

No.99 地面の穴

儚く崩れる地面 奈落を覗き込めば 輝く思い出たちが 暗闇を照らしている 飛び込めばもう戻れない 時間が止まり動けない 躊躇する間も無く 足は沈み埋もれてゆく 駆け出すと地面の穴は 遠く離れていった 振り向くとそれは ただ陽炎のように揺れて あの暗闇を…