2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

No.417 誰かの小さな石

彼は大きなリュックを背負っている まるで登山へ行くようだ 行く先はいつも違うが 山ではない 何処というわけでもなく ただ出掛ける 出掛けた先では誰かが落とした 小さな石を拾い集め リュックに入れて持ち帰る 綺麗なものもあれば土の付いた物もある 不揃…

No.416 詩未満まとめ

食べ残した肉たちが会話をしている 自家製のチーズがそれに耳を傾ける 彼のいびきは聞こえないフリをして 明日行くゴミ箱の中を予想している 「広がりすぎて縮まなくなった物」 「びろびろのラップ!あと新聞紙」 「言葉遣いの汚いやさぐれた容器」 「分別さ…

No.415 ダイナシ

一日の終わりを台無しにするのが上手い男 目にかかる長い前髪を避けると 彼の視界を遮る電柱が邪魔だと感じ 右足を構えて 腰を捻り 蹴りを入れた 電柱は彼の足の甲を痛烈に批判して 「そんな蹴りで俺が痛がるとでも?」と言った 彼は自分の足の甲にヒビが入…