2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

No.282 一雫

人との関わり合いを避けるあまり 孤独を愛してしまった男がいた 彼は誰よりも乾いた息を吐いて その息をも白くする季節を嫌った 一年という時間は短く 季節というものは儚く 巡り来る苦しみの中で 一雫でも何かを垂らせたのなら 涙は渇く 出来事は全て置き去…

No.281 少年と磁石

反発する磁石を 少年は親指と人差し指で摘む 力をどれだけ入れたとしても 弾けて裏返るのが結末だ 少年は 友達が少なかった 親友などには 夢でさえ会えない 友達という言葉に嫌気が差すほど 話をするのも 聞くのも 苦手だった そんな少年は 家に帰って 磁石…