No.511 左に傾き過ぎた男!

 

 

傾いた彼が左へ曲がる

景色は反対の方向に傾く

真っ直ぐになろうとしても

左半身が重くなる

 


傾いた彼が さらに左へと進む

大きな円を描くように 進んでゆく

横断歩道では 不思議そうに指を刺され

それを横目に どんどん曲がる

 


曲がり続けて 重くなり続けて

彼はほとんど地面と平行になる

左足は削れて 右足は浮いて来て

大きな円は どんどん小さくなる

 


小さな円が 点のようになろうとする

彼はコマのように回る

左半身が削れて 右半身は飛んでいった

彼の旋風は 彼の周りを静かにしていく

 


彼が回り疲れ 止まろうと思ったとしても

左半身が おそらく何かに引っ張られている

それに慣れてくると 彼は同じような者を探す

弾き合って どちらが残るか勝負をしてみたくなる