No.467 0

 

 

彼は鎖で身体を縛られ 拷問を受けていた

周りには水が何リットルも積まれていた

彼はびしょびしょの髪の間から睨んだ

銀色の男は サングラスをかけていた

 


「0になるまで待ってやる」

タイマーを合わせ 銀色の男は部屋を出て行った

「何も言うことはない」彼はそう呟き

0になるまで男を待たせてやった

 


戻って来た男は「随分しぶといな」と言って

三発 彼の頬を叩き 彼の口の中は鉄の味になった

彼は「随分しつこいな」と言って

銀色の男へにっこり笑ってみせた

 


本当に彼は知らなかっただけだが

銀色の男は 彼が知っていると決めつけた

変わらない質問に答えられない代わりに

彼にとってもっと重要な答えを 彼は見つけ出した

 


「もし望む答えが欲しいと言うなら

 俺のことをもう放っておいてくれないか?」

彼は銀色の男にそう言ってみた

銀色の男はまた「0になるまで待ってやる」と言った

 


「へえ そうかい」と言って彼は0になった

銀色の男は部屋を探したが 彼は見つからなかった

0になった彼は男を鎖で捕らえて

「今度はお前が0になるまで待ってやる」と言った