No.466 中に居る彼!

 

 

悲しみの悪戯も 彼にとってはもう

どうでも良いような 清々しい顔をしていた

悟り切って 涙を流すことすら忘れて

一番不幸な時でさえも 幸せと錯覚していた

 

 

彼はちっぽけで退屈な日々の中

現実より少し下の暗闇の中

彼は丸括弧の中 舌打ちまみれの会社の中

(虚な目をした男の 頭の中)

 

 

悪戯な目配せも 彼にとってはもう

どうでも良いようなフリ 白々しい顔をした

開き直って よだれを垂らして求めて

一番不安定な時に 彼女と出会った

 

 

彼はちっぽけで窮屈な部屋の中

理想が花を咲かせる押入れの中

彼は鉤括弧の中 口付けだらけの深夜の中

「虚な目をした男の 心の中」