悲しみの悪戯も 彼にとってはもう
どうでも良いような 清々しい顔をしていた
悟り切って 涙を流すことすら忘れて
一番不幸な時でさえも 幸せと錯覚していた
彼はちっぽけで退屈な日々の中
現実より少し下の暗闇の中
彼は丸括弧の中 舌打ちまみれの会社の中
(虚な目をした男の 頭の中)
悪戯な目配せも 彼にとってはもう
どうでも良いようなフリ 白々しい顔をした
開き直って よだれを垂らして求めて
一番不安定な時に 彼女と出会った
彼はちっぽけで窮屈な部屋の中
理想が花を咲かせる押入れの中
彼は鉤括弧の中 口付けだらけの深夜の中
「虚な目をした男の 心の中」