No.452 疲れちゃった男!

 

 

燃え尽きてしまった感情を

もう一度燃やすためにガソリンを飲もう

彼はちっぽけな歯車の欠片

世間体を気にし過ぎて摩耗してしまった

 

システムの中に入り込んだウイルスが

彼のために働くと申し出た

企みを囁くと身体は勝手に動く

そこら辺にある物を武器にする

 

血に染まる歩道橋が夕陽に映える

彼はそれを眺めながら涙を流す

帰り道に平凡な映画を借りて

1時間40分後にはまた涙を流す

 

全てが終わった後にウイルスに言った

「もうそろそろ何処かに行ってくれないか?」

疲れた男は眠りに落ちてゆく

ウイルスはベッドの上で円を描く

 

描かれた円は次のポイントまで

彼のことを運んでいってしまう

眠りの中でさらに削られてゆく

砂になるまで時間は掛からない