No.569 起きながら居眠り中の彼!

 

 

一回分の魂 一回分のジェラシー

臭いがきつい 冗談を解き放ち

彼は思い出し コンビニの袋に

全てを放り捨てて 新しくなった気がした

 


毎日同じ話 毎日同じ時間に

電車に乗って 揺られて 誰かに怒鳴られて

聞こえないフリ 彼のプライバシー

誰にも見せたくない 二日酔いの理由

 


一回分の魂 一回分の愛に

全てを捧げても ただの一人勝ち

彼はまた放ち コンビニの袋に

溜まっていくティッシュを捨てない

 


毎日同じ場所に 毎日同じ心に

電車を降りて 歩いて 誰かにぶつかり

何も見えないフリ 彼のランジェリー

誰にも見せたくない 夜更かしの理由

 


一回分の魂 一回分の偽り

一回分の薄い紙 または 一回分の薄いゴム

一回分の不幸 一回分の幸福

一回分の後悔 一回分の崩壊

 


ふしだらな女は 彼を見て笑う

だらしない男は 彼を見て笑う

嘘つきばかりの 毎日と毎日の間を

過ごすだけ 耐えるだけ 目が覚めるまで

 


全てがスローモーション

鈍く震える音たち そして残像だけの映像

何が映っていても 彼には関係がない

此処は彼の場所じゃない 彼の場所は何処?