No.535 泥団子を作る彼!

 

 

君は何も知らなかったから

仕方ないかも知れないね

彼は君に言えなかったから

難しいかも知れないね

 


空が高すぎて太陽は

同じ大きさに見えるのに

青を飲み込んでしまいそう

雲は仕事を忘れ 遊んでいる

 


砂場に手を触れただけでも

赤くなってしまいそう

それでも君は彼に

泥団子をねだっている

 


涼しい風が吹いたと思ったら

すっかり夜になってしまった

また明日 同じ場所で会おう

君は彼に 何をねだるだろう

 


君は嘘を吐けなかったから

純粋なのかも知れないね

彼は君をまっすぐ見ることさえ出来なかったから

不器用なのかも知れないね

 


雨が降っても君は

昨日と同じ物をねだったから

彼は困って 泥まみれになり

しかも君に置いて行かれて 泣きそうになる

 


遊具に座ってじっくり考え

君を探すことにして

珍しく 大人しく 座りながら

図書館で本を読む君を見つけた

 


涼しい顔で彼が 君に声をかけたら

まっすぐ彼に寄ってきただろうか

でも彼は怖気付いてしまう

一体君に 何を感じただろう

 

 

 

それきり 君は彼に会わなかった

君の最後の姿が 彼の頭から離れなかった

全てが過ぎて 高すぎる空も

見ることが少なくなった

 


彼は君がねだった泥団子をまだ作っていた

そうしたら彼は何て言ったと思う?

「それを食べると すごく美味しいんだ」

君のせいで 彼はおかしくなった

 

 

 

嘘だよ 何も心配いらない

もう君は彼に 会わなくても良い

会ったとしても 何も分かり合えない

ただ彼は 泥団子を作るのが好きなだけだ