No.442 新しい宿をさがしに

 

 

最高の皮肉を言って彼は出て行った

あらゆる愛しい物が置かれた部屋から

最低な気分は後ろめたさと踊った

苦しがる昨日までの日々も一緒に

 


明日からは何が起きようとも

彼が驚くことはないだろう

全てを知ったようなフリをする

限りなく死に近い者よりも

 


はやけに激しい

彼の鼓動は取り残される

部屋に戻りたくなる気持ちを

必死に刺して歩く

 


ルミネの前で暇人に蹴られた

ユニクロに入り浸る観光客に肩を当てられた

巨大な映画館でポップコーンをかけられた

ぼろぼろになり 彼は世界堂に助けを求めた

 


誰も彼を知らなかった

彼も誰も知らなかった

部屋に戻りたくなる気持ちはもう死んだ

彼は煙草の吸える喫茶店で休んだ