No.465 ターコイズ・ターコイズ

 

 

ターコイズで出来た 髑髏のネックレス

彼はそいつに 精神を捧げている

前髪が抜けるほどに上がり 額に血管が浮き出る

バイクはスピードを増して 増して 増していく

 


彼が通ると店や家々のガラスが割れる

ぶら下がるターコイズの髑髏は笑っている

近くを歩く人々は 何メートルか飛び

その風が彼によるものということに気が付かない

 


増して 増して 彼すらも制御出来なくなると

ターコイズの髑髏は彼の身体になり始める

伸びて 首元を締め上げるように絡みつき

フルフェイスヘルメットを突き破る

 


ターコイズは広がり 彼の形に合わせてゆく

背中から腰まで包み 腕を伝って手の先へゆく

腰の方から下へ伸び 太腿から足の先へゆく

赤いバイクまでも包み込み ターコイズになってゆく

 


やがて彼はターコイズブルーの光になり

地球を一色に染め上げ 境界線をなくす

ヘッドライトに君臨する髑髏は いつまでも笑い

彼を自由にしたくてウズウズしている

 


ターコイズとの対話しか出来なくなった彼は

あらゆる物事を彼方へ置き去りにしながら走る

一色の地球の自転は 彼と共に加速して

月に近付き 突き飛ばしてやろうと 髑髏は考えている