No.464 サッシの男!

 

 

サッシで寛ぐ蝙蝠とお茶を飲んでいた彼

後から来た蝿どものせいで追い出された

その後すぐに そこの住人が窓を閉めて

蝙蝠と蝿は勢い良く押しつぶされた

 

 

仲の良かった蝙蝠へは悲しみの言葉を

彼を追い出した蝿には「ザマアミロ」と

蝙蝠と過ごした家から 彼は フラフラ歩き出して 

遠く離れた山奥の陶芸家の家に向かった

 

 

陶芸家の家は何が良いのか?

当然ながら住人はあまり動き回らない

窓を開けっぱなしにして 大きなサッシを

彼に「どうぞ」と言わんばかりに開放するから

 

 

彼は金属の冷たさを背中に感じながら

森の木々の隙間から 差し込む日の光を見て

遠くから聞こえる ろくろが回る音を聞き

蝙蝠の姿を木の葉に思い浮かべた

 

 

(翼を広げて お茶を飲んでタポタポになった腹で

 蜘蛛の巣の合間を 回転しながら飛んでいる二匹

 あの忌々しい 大きな羽音さえ

 今ではもう 「蝙蝠」ほどに懐かしく 美しい)