No.471 男の友人

 

 

南口を出た男は「随分変わったな」と言った

男の友人は「前からこんなだよ」と言った

横を通り過ぎる女たちは男の話をしていた

南口を出た男のことではないと分かりつつ 南口を出た男は耳をそばだてた

 

 

次の日 男の友人は地元の女友達と遊んでいた

南口を出た男のことを話すと女友達は「きもい」と言った

男の友人は「そんなこと言ってやるなよ あいつは親友だ」と言うと

「親友といる時に女の子の話聞くかな?」と女友達は答えた

 

 

前の日 南口を出た男は 男の友人と歩いていた

肩がぶつかりそうなほど人で溢れかえっていた

足を露出した女に気を取られて前から来たガタイの良い男がぶつかり

南口を出た男を倒してしまったので 男の友人は助けてやった

 

 

次の日 男の友人は そのことも女友達に話した

「何それ ダサすぎる」と言って 救いようがないという顔をした

男の友人は「そんなこと言ってやるなよ 良い奴だぞ」と言うと

「良い奴にしたって女の子好きすぎるでしょう?」と女友達は答えた

 

 

前の日 南口を出た男と男の友人はホテルに向かっていた

傷を見せると男の友人は それを撫でてやった

次の日 男の友人は女友達と行きつけのホテルに向かっていた

美しい体の虜になった男の友人は 南口を出た男を忘れてしまった