No.434 なんとも言えないナイトメア!

 

 

また夢を見よう そう思って

彼は目を閉じ 耳を塞ぐ

イヤホンからは 優しい音色

美しい夢に 包まれるように祈る

 


あれはさざなみ 小豆の群集

見たこともない男が立つ

浜辺で死んだ亀の上で

裸になって踊っている

 


何をしているか彼が訪ねる

男は答える「弔っていたんだよ」

そして彼は男の踊りを真似て

裸になって日が暮れるまで踊る

 


かもめが笑う 「阿呆ども」と

彼らは踊る 亀は静まる

夜になると割れた甲羅の隙間から

月の方へと光が伸びる

 


あれはさざなみ そしていかずち

彼らは痺れ 我に返る

天国なんて ありはしないと

中指立てて 彼は歩く

 


あれは喧騒 いつもの群集

裸の彼は下の方ばかり見られる

優しい女が布を被せる

彼は礼を言う そしてまた歩く

 


あれはクラクション トラックの窓から

太い腕が彼に怒鳴る「何処見てんだ!?」

彼は謝り そそくさと逃げる

歩き歩き 歩き疲れても また歩き始める

 


あれはさざなみ 小豆の群集

見たこともない男はまだ焦げている

諦めずに亀を弔う

そこに置き忘れた 服を着る

 


あれは喧騒 いつもの群集

女から貰った布は 男にかけてやった

普段着の彼は煙草を買って ライターを擦る

そこで目が覚めると 天井を見て煙を吐き出す