No.364 ひとりごとの波

ぽつんと響いて 波紋が広がり
いつまでも広がり続け ぶつかるものもなく


当たり前のことを連ねる異常者たちの日常を
必死に眺めて 真似しようとする


誰よりも不謹慎な笑い顔で
彼はぽつんと ふたつめを言う


波紋は広がり続け やはりぶつからない
ひとりきりは慣れすぎて 幸福である


当たり前のように傷付く異常者たちの言動を
必死に受け止め 真似しようとする


誰よりも不謹慎な笑い顔を
崩さないように ぽつんと 波紋を作る


誰かの波紋は 大きな波になって
嵐になって 彼のものを吹き飛ばした


当たり前に 誰かの波紋が彼にぶつかったが
必死な彼の波紋は 誰にもぶつからない


誰よりも不謹慎な笑い顔を
彼は作ることが出来なくなった


彼は不謹慎なことを言ってみた
そして 引け目を感じることをやってみた


当たり前のことを連ねる異常者たちには
必死さがやけに 笑えるのだった


彼よりも不謹慎な笑い顔に
彼が石を投げても ぶつからなかった