No.532 夜と彼と 少し気怠い時

 

 

彼は夜空を眺めながら

誰も知らない言葉で

何かを囁きながら

時が流れるのを悲しむ

 


隣の住人の騒ぐ声で

幻想は追い出された

それでも 走る車を見て

少し 楽しかった

 


彼はベランダに立った

夜空は くるくる回った

騒ぐ声は大人しくなった

車は去って行った

 


夜が また 終わってしまう

時が また 流れてしまう

彼は また 夜空を見上げて

誰も 知らない言葉を探す