No.518 孤独に寄り添う彼

 

 

彼はきっと 君の見ている世界を良く知っている

そして今も 夜空の片隅で 一人っきりで

君の見ている世界を眺めながら 紅茶を飲んで

ゆっくりと息を吸って 吐いている

 

 

彼はきっと 君の知らないことも知っている

そして君も 彼のことを知っているかも知れない

彼の見ている世界は 君には見えないだろうが

ゆっくりと息を吸って 吐けば良い

 

 

ただそうするしかなく

君はベッドに寝転がったり

ソファに座って 煙草を吸ったり

酒を飲んだりしているのかも知れない

 

 

彼は 君の時間に合わせて

色々な暇潰しを考えている

紅茶の葉にこだわってみたり

君の世界が見えない間は 好きな映画を見ている

 

 

彼に会えたら 感謝だけを伝えると良い

君は一人ではない証明が 彼なのだから

その後 彼はきっと 君を真っ直ぐに見つめて笑い

夜空の片隅からも消えることだろう

 

 

彼が消えてしまった後は

君は悲しまなくても良い

側にいる誰かのことを見つめれば良い

その誰かの世界では 君が一番大きいのだから

 

 

彼はどこへ行っても

何をしていても

君のことを思い出すだろう

君が やがて彼を思い出せなくなる代わりに