No.391 ショットガンと彼!

 

 

彼の心が冷えてゆく

小さな音の連続で それは冷蔵庫が唸る音

彼の頭は冴えてゆく

小さな嘘の連続体 それは きっと 何かだった

 


新しい朝が 眠れるはずの夜が

一秒ごとに死んでしまっても

彼は初めてのように触れる

猫の毛並みのような その嫌悪感に

 


もう少し騒がしかったら 彼は眠れたのだろうか

新しい朝が 連続して昨日と繋がってしまう

壁にかかっているショットガンを咥えた男の絵

彼はそれを「ショットガン」と呼んで話しかける

 


ショットガン お前は良いよな

湿り気のある場所に居られて

乾き切った此処では お前みたいにはなれない

引き金を引かれるのを待つだけなんて出来ない

 


ライダースジャケットを着て

家の鍵を持ち ドアを開けて 締めて 鍵を閉める

彼は凍える外気に震える方が

惨めな思いを抱えなくて済むと考えた

 


しかし ナイトホークスのような色の

朝になりそうな夜は 何処と無く他人事で

すぐにショットガンが恋しくなってしまい

公園で缶コーヒーを飲むと 五分ほどで帰った

 


テレビを付けて 昼に録画していた映画を見る

ショットガンが 人に大きな穴を作る

花が開いて 中身は飛び出して まるで

誕生日のクラッカーのように感じる

 


彼は ショットガンに言った

ほらお前が出ているよ また バン バン

正しい音は ドスンドスンか?

お前はいつ そいつを殺してくれるんだ?

 


ショットガンは 彼に言った

こいつは厄介な 争う気はねえぜ

ところで あんたの方はどうなんだ?

何時になったら眠れるんだ?

 


彼は ショットガンを睨んだ

ショットガンは すっとぼけていた

彼に描かれたショットガンを咥えた男は

退屈そうに 引き金を引こうか迷っていた