No.389 ドゥーベルマンとパグゥ
パグゥは言った
「こんなくそったれな生活やめだ!」
ドゥーベルマンは言った
「ならどこに行けば良いと思う?」
パグゥは答えた
「行き先のない道を永遠と歩けば良い」
ドゥーベルマンは答えた
「行き先のない道への道がわからない」
二匹はインコのようにこの会話を繰り返して
いつもと同じ茶色い玉を食べていた
二匹の鼻息が混じり合う部屋には
邪魔するものなど何も無かった
ドゥーベルマンは言った
「身体の節々が傷んできた もう歳かな」
パグゥは言った
「身体がどうなっても魂は死なないだろう?」
ドゥーベルマンは答えた
「魂が死なないのなら ますます憂鬱になるな」
パグゥが答えた
「お前は大きいくせに本当に小心者だな」
二匹は壊れたビデオテープのような同じ景色で
いつもと同じ透明な水を飲んでいた
二匹の毛並みが擦れ合う部屋には
不必要なものなど 何も無かった