No.601 アナグマとコヨーテ
街は 夜の喧騒を洗い流して
すっかり別の顔をして朝を迎えていた
昨日飲み過ぎた木の実ジュースを
アナグマは全て吐き出したい気分だった
友人のコヨーテはその横で
呑気にビーフジャーキーを食べた
「昨日はヤケになっていたな」と笑うと
アナグマはそっぽを向いた
朝日が照らし出した二人の顔は
同じくらい汚れて見えた
公園の水道で顔を洗うと
アナグマはやっと目覚めたようだった
朝日をじっと見つめて
何かを思っていたのか 数秒停止し
「さて 一仕事するか」と言うと
コヨーテはそっぽを向いた
二匹は素晴らしい友情を感じることもなく
ただ流れる時間に合わせて一緒に居た
木の実をかき集めて ジュースにすると
街が夜の喧騒を取り戻すまで待った
ネオンの街並みが その周りを飛ぶ羽虫が
どうしようもない気持ちにさせたので
(こんな時にはダンマリが一番だ)と思うと
二匹は そっぽを向いたまま 朝まで過ごした