No.444 蟻ほどに小さくなった男!

 

 

彼は蟻の巣に入って行った

働き蟻は皆サボっていた

雄と女王蟻がバラバラにされて

巣の至る所に飛び散っていた

 


彼は働き蟻に聞いた

「これからどうするつもりだ?」声が響く

働き蟻はせっせとダラけながら

「あんたに答えてどうするの?」と言った

 


働き蟻は彼に聞いた

「あんたはここに何しに来たんだ?人間」

彼は小さくなった頭をポリポリ掻きながら

「泊まる場所を探していただけだよ」と答えた

 


それから 彼は蟻の巣の中で眠った

カサカサと動く音は あまり気にならなくなった

数日泊まると 彼は一匹の働き蟻と恋に落ちて

その蟻の巣を出て行くことになった

 


彼の身体が ほんの些細なきっかけで

元の人間の大きさに戻った時

手のひらの下で潰れていた蟻のことを

彼は思い出すことが出来なかった