No.424 そして彼も欠片になった

 

 

指先からこぼれ落ちた 数少ない夢の欠片
優しすぎる思い出には  蓋をして目を閉じた
愛する者は皆去った 彼には彼だけが残った
身に付けた洋服にさえも 彼は忘れられた


ゆっくりと回る夜の幻想は
街灯とこぼれる家々の明かり
彼は目を奪われて
蝶を追うように夜を彷徨う


夢の欠片はトラックの車輪に踏まれた
蓋をした思い出が腐ってドロドロになった
愛する者にとっての彼は死んでしまった
忘れていた洋服はビリビリに破れて飛んだ


しっかりと握った札束を頼りに
街灯を経由して煙草と酒を探した
彼は足を取られて
転んだ先の石に頭が食い込む