No.537 イタチゴッコ!

 

 

そこはどこにでもあるような

汚らしい裏路地で

黒いスーツを身に纏って

彼は突然発生した

 


黒いスーツのポケットから

携帯電話のような物を取り出すと

あたりに向けて 何かを測り

確認作業が終わると 歩き始めた

 


彼は明確な目的があった

この街のどこかにいる誰かと会い

未知の存在を知らせて

これから起こる事態に備えさせることだ

 


しかし ナイフを持ったホームレスが

スーツを奪おうとして彼を脅し

対抗する手段を持たなかったため

スーツを脱がされた後 彼は刺殺された

 


ホームレスが凍え死なない代わりに

生き残るはずだった人々の存在は消えた

彼を過去に送り出した人物は 次の黒いスーツを探し

ホームレスを殺害するための策を練っていた