No.484 黒い服の彼!

 

 

真っ黒で服装を固めた彼には

毛玉と埃が寄り付いて離れなかった

今朝見たかなり居心地の悪い夢を

思い出したように 頭痛は酷くなった

 


彼の目の色と同じ服の色は

太陽の光を集めて発火しそうだった

目から火が出たら 何から燃やしてやろうか

そんな愉快なことを考えても 頭痛は治らない

 


電車の走る速度と一緒に

遅い夜はだんだんと黒を滲ませていった

彼は毛玉と埃を摘み上げて

知らない誰かの後ろ姿に飛ばして遊んだ

 


電車が彼の家の最寄り駅に着く頃には

すっかり夜は黒を滲ませ尽くして

黒い服の彼は 露出した肌しか見えなくなった

他の誰かは 彼のことを恐ろしいものと間違えた

 


月はそれほど明るくも綺麗でもない

太陽なんて 見ることすら難しい

彼はそんなことを思いながら 白い壁の部屋の中

くっきりと現れながら ポテトサラダを食べた