No.550 真昼の退屈
僕と嫁は出かける準備をしている
嫁の妹と姪っ子二人と一緒にかき氷を食べに行く
昨日借りたブルーレイは置きっぱなしだ
一度観たものなので 観れなくても問題ない
蝉の声が遠くから聞こえる
パワフルな日差しがカーテンの向こうで
ベランダをうなだれさせようとしている
室内には 風が心地良く入る
カメラを持って行こうか迷っている
カバンすら持って行こうか迷っている
僕も嫁もスマートフォンをいじりながら
クッションに腰をかけて座っている
ちびのミイのフィギュアが
嫁の充電ケーブルにしがみ付いている
雑多な部屋の中で唯一 必死になって
必死に登ろうとしている姿が可愛らしい
昨日買ったサワークリームオニオンの
ポテトチップスが 封を開けずに置かれている
空になったペットボトルが二つ
真っ白なテーブルの上に乗っかっている
僕は このような瞬間が
一番特別ではないのかと錯覚する
風はまた室内を巡回していく
何も起こらない 真昼の退屈