No.449 文字を食う男!

 

 

常夜灯にして 読みづらい文字を読む

暗号を解読するように 崩壊した文字を読む

生茂る雑草のような文字を読み

ページの間に挟まった文字まで読む

 

 

彼は本の虫よりもグロテスクに存在する

文字を読んだ後は 良く噛んで食いまくる

文字は腹の中で消化されながら

彼に訴えかけるが 彼には何も聞こえない

 

 

小説は現実よりも身近で

詩集は妄想よりも飛躍する

彼の髪の毛は文字になってゆき

それが言葉となって彼の頭の上に乗る

 

 

漫画は吹き出しの中身と効果音

雑誌はデザインと写真に挟まれている

彼は沢山の居場所を見つけて

その居場所ごと食いまくる

 

 

映像の中の文字を読む時は

少しだけ痺れるが 彼には些細なことだ

食いまくり 跡形もなくなると

彼はメソメソと次を探している