No.437 楽園

 

 

飛び散った絵具 切り刻まれたキャンバス

弱い酒をもう瓶の半分まで飲んだ

クソッタレと悪態をついて

そのままフローリングで眠った

 


憧れた人はもう居ない

憧れられることもない

後ろ指を気にすることすらない

彼にはもう何も残されない

 


夢の中で 楽園を見た

誰もが傷つけ合うことなく

泉から湧く美酒を飲んで

愛について語り合っていた

 


目が覚めると くだらなさに笑い

咳き込むまで笑い続け 思いついた

キャンバスの山を 壁に貼り付けて

飛び散り固まった絵具も拾って 飾った

 


夢の中で見た楽園に似ていた

くらくらとして 後ろに倒れた

彼の後頭部がフローリングに辿り着くと

頭は花が開くように弾けた