うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.98 希望の歌

 

僕はいつも探してる

何を探してるかわからないけど

僕はいつも求めてる

何を求めてるかわからないけど

 

 

土砂降りの雨が丁度良い

明日の心配も洗い流し

スレスレで生きていきたいから

ずぶ濡れでも生きていたいから

 

何が起きても構わない

何が終わっても知らない

息が出来なくなったとしても

何も変わることはない

 

 

僕はいつも探してる

何が起こるか楽しみにしながら

僕はいつも求めてる

何が起きたって楽しみながら

 

 

土砂降りの雨が丁度良い

昨日の不安を洗い流し

ぶれぶれの論理で攻めながら

ずぶ濡れの論理をかざしながら

 

何が起きても厭わない

何が終わっても消えない

息が詰まる所を抜け出して

何かに変わるまで探して

 

何が起きても構わない

何が終わっても知らない

何が起きても厭わない

何が終わっても消えない

 

 

 

No.97 街

 

なんやかんやで 辿り着いたら

そこは東京 眠らない街

とは程遠い 眠る街並み

山がそびえる 鳥は鳴き出す

 

虫の音色に 寝つきは悪く

犬の遠吠え 寝起きも悪く

緑と青の コントラストが

うざったいから 目を閉じている

 

狡い言葉を くれた貴方に

あげる言葉は 「全て彼方に」

飛んでいったよ 右から左

どこへともなく 左から右

 

慰めてから 貶す言葉で

全て無かった ことにしたって

慰められて 貶されたから

不安に怯え 溺れ震える

 

ここじゃないどこかなんて

君がいなければ不安定

だから一緒に眠ろう

だから一緒に語ろう

 

どこでもない場所なんて

君がいなければ無関係

だから一緒に落ちよう

果てし無く落ち続けよう

 

 

 

 

No.96 パーツ

 

奪われた物は全て数え
与えられた物を全て捨て
夢みたいな言葉を重ねて
憂鬱なことは全て忘れ

 

辞めちまいたい 僕を仕舞いたい
嘆きの燻製 煙草に火を点ける
冷めちまいたい 僕は発火して
過激な恒星 燃えて光り続ける

 

盗まれた物を全て数え
盗んだものは全て売り飛ばし
夢みたいな心をかわして
憂鬱なことは全て燃やして

 

あげちまいたい 僕をラッピング
破滅の銃声 煙草に穴があく
ズレちまいたい 僕ははぐれ者
なれずに防戦 盾は燃えて落ちる

 

はめちまいたい 僕を押し込んで
この世の純正 部品は国産だ
一緒にいたい 僕は誰の物?
これから混成 部品は沢山だ

 

No.95 幻想(街灯の夏仕様)

 

夏に揺れてるそびえるビルを
遠く見つめてるこの瞳の奥で
移ろいゆく時間だけが
音を立てて刻まれている

声を潜めて気付かれぬように
ひっそり一人捕まらぬように
誰に祈る訳でもないのに
誰に救われることもないのに

気が付けば夢見た景色
夢見た人々 忘れたはずの思い出たち
気を許した途端に
引き込まれていた
あるはずの無い幻想に

夏に行き交う人々の中に
紛れ込めたら深く沈めるのに
冷えた部屋の時計の針が
音を立てることなくクルッと回った

声がもう届かない場所で
遠く遠く離れてる場所で
誰が待ってる訳でもないのに
誰を覚えてる訳でもないのに

気が付けば涙も枯れて
傷跡も治り過ぎ去ったはずの苦しみを
思い出してしまったら
巻き込まれている
幻想が過去を照らし
幻想を一人歩く

No.94 彼の泉

 

ふいに美しい声がした

彼はその声の元に歩いた

ふとしたことを思い出した

その日は日曜で空は曇っていた

 

ガラスに亀裂が走り

「ふとしたこと」以外は忘れ去り

そのガラスの中に入っていた水も

飼っていた魚も何処かに溢れた

 

美しい声はやはり消えた

彼にはわかりきっていたことだった

そして彼はまた歩き出した

まるで目的地があるかのように

 

澄んだ泉を見つけた

その水を飲むと彼は泣いた

味はしなかった 何も無かった

星の光を反射して輝く泉に顔を浸した

 

すると彼は美しい声を聞いた

まるで囁くように まるでなだめるように

まるであやすように まるで実在するように…

彼は泉の中で呼吸を忘れた

 

それからというもの

彼は何処へも歩かなくなった

そして泉は濁ってゆき

彼と共に腐り果てていった

 

 

No.93 紫煙

煙草の火

当てた手のひら

むず痒い

穴が空くほど

灰皿代わり


フィルターを

噛み潰すたび

気が狂う

葉っぱを噛めば

正気に戻る


成人に

なる寸前は

生きた肺

なった途端に

燻製の肺


日が照った

鉄の熱さで

火を付ける

血の味すると

少し微笑む


栄えてる

街並み立ち見

煙草吸い

右目に染みる

涙が滲む


傘捨てて

ライター擦って

燻らせて

雨に塗れて

気持ち紛れて


暗がりに

動き出すのは

赤い点

近付く気配

冷たい香り

No.92 曇り空とアスファルト

 

暗い朝に吹く風

午前十時になっても雲は
重たく広がり灰色を落とす

アスファルトを反射しているようで
空と地面に挟まれて息苦しい

二つの思いに押し潰されて
死んでしまった昨日の気持ちのようだ

僕は有名な小説の台詞を思い出して
その主人公と同じように孤独を味わった

結末はいつも報われないものばかり
僕はそういうものを好んで選んでいた

それに気が付くと
挟まれて息苦しいのにも納得がいく

全てを受け入れて痛みを忘れれば
アスファルト色の曇り空も
曇り空色のアスファルト

大した問題ではないと感じて
前を見て歩き出せる気がする

しかし物凄い速さと音で通り過ぎる車に
芽生えたばかりの気持ちが摘み取られ

吐き捨てられた排気ガスの横で
今日も死んだ気持ちが横たわる

皮肉を言う元気さえあれば良いのに
皮肉なことに身体だけは丈夫なままに

心の方はやつれて見る影も無くなって
やがて身体とは別々に
歩き始めるような気がしてならない