No.144 無題
からからと 音を立てて
転がる空き缶 風が強く
少しだけ分厚い上着で
誰もいない山道を通る
このまま土に帰るまで
木の下で 眠っていたい
誰かへの思いだけ残り
空気の中に 溶け出して
やがて昇って行くだろう
寂しさも紛れゆくだろう
僕のこの思いが 透明に飲まれて
霞んでゆく 淡く儚く 掠れてゆく
空気の中でもがいても
誰にも聞こえやしない
遠くに住む優しかった
誰かへの言葉を囁いて
空を突き抜けてゆくと
星の海の中で泳いでは
誰かに見える星座へと
流れるまま身を任せる