2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

No564 ドヤ街近くの息子さん

泥だらけで汚い道だった たまにビニール袋や 激しい臭いを放つ物体があった 彼はいつも立ち止まって それを枝で突いたり 箸のようにして摘んで持ち上げたりしていた その日も 相変わらず汚くて仕方がない道を とっとっとっ と 歩いていると 無性に良い匂いが…

No.563 実体のない男

薄い膜だけの彼は笑っている 皮膚はもう無くなり 中身もない 浮かんでいる様は 異様な巨大シャボン玉のよう 彼に笑いかけられた少年たちは逃げて行った 少年たちを追いかけて 風を上手いこと味方にしつつ スピードを上げて突撃するが ぶつかっても跳ね返るだ…