No.150 画像×詩÷9=1
まとめです。
No.149 画像×詩×底辺×高さ÷2
まとめです。
No.147 前を向いて歩く彼
(彼に何と言えるだろう
振り向くこともなく
ただ前を向いて
足早に去って行く彼に)
僕と彼は 顔も知らない頃から友人で
ついこの間 実際に会うことが出来た
誰もいない喫茶店の中で
彼は僕に大き過ぎる夢について話した
「話をしていてもつまらない」
僕らはにぎやかな街に繰り出して
行き交う人々が何を考えているか予想して
くすくす笑いながら 目的もなく歩いた
晴れ渡る空がアスファルトを照らし
その光があまりにも強過ぎて
僕らはしかめっ面をしながら
にぎやかでなくなる地点まで歩いた
そこまで歩くと僕は彼の顔に
不穏な影を見つけ 彼に質問をした
「何か不安なことでもあるのか?」
すると彼は その影を隠して微笑んだだけだった
彼は次の日に消えた
僕はまた二人で出かけようと言ったのに
彼は何も言わずに消えてしまった
次第に彼の顔すら思い出せなくなっていった
彼は大き過ぎる夢を叶えたのだろうか
大き過ぎる夢に潰されてしまったのだろうか
大き過ぎることを自覚して
全てを諦めて消え去ってしまったのだろうか
ただ 彼は前を向いて歩いていただけ
僕はそこらの街路樹のようなものだった
通り過ぎればどうということはない
彼は木を見るために振り向くことなどなかった
僕は自分が前を向いているのか不安になった
どこも向いていない気さえして下ばかり向いた
後ろにも前にも 右にも左にも 上にも下にも
僕の居場所なんてないと感じるだけだった
No.146 朝
たまらなくつまらない朝
たまらなくくだらない朝
相変わらず訪れる朝
なんの用事もない朝
朝だ
太陽がカーテン越しから
朝だ と
うるさく喚いているから
僕はしっかりとまぶたを閉じて
それを聞かないふりをして
寝付きの悪い頭の中をかき混ぜ
うつ伏せになろうともがいている
滑稽な光景だろう
この姿は誰にも見せられない
布団と一体になって溶け
死んだように朝をやり過ごすのだから
昼になれば暑くもなる
朝はただ冷え込むばかり
夜になれば目も冴える
朝はただ冷めゆくばかり
平日も休日も朝はしみったれて
憂鬱と退屈の間を行ったり来たりする
僕はやけになる気力もなく眠り
やれたはずだったことをまた一つやめる
だからこそ朝がある
僕の無駄な時間がそこにある
つまらなくくだらなく
ただただ空虚な朝がそこにある
No.144 無題
からからと 音を立てて
転がる空き缶 風が強く
少しだけ分厚い上着で
誰もいない山道を通る
このまま土に帰るまで
木の下で 眠っていたい
誰かへの思いだけ残り
空気の中に 溶け出して
やがて昇って行くだろう
寂しさも紛れゆくだろう
僕のこの思いが 透明に飲まれて
霞んでゆく 淡く儚く 掠れてゆく
空気の中でもがいても
誰にも聞こえやしない
遠くに住む優しかった
誰かへの言葉を囁いて
空を突き抜けてゆくと
星の海の中で泳いでは
誰かに見える星座へと
流れるまま身を任せる