気まま日記 4/21

 

 

昨日今日、良い映画を観た。

6作品観て、心に深く残ったものは2作だった。

 

1番良かったと思ったのは、「万引き家族」だ。

是枝監督の映画に対する誠実さや、今まで培ってきた全てが集まって、1つの到達点に辿り着いたような作品だった。

是枝監督の作品は、「歩いても歩いても」「奇跡」「そして父になる」「海街diary」「三度目の殺人」を観ていて、中でも「奇跡」と「そして父になる」はとても思い入れがある作品だ。

万引き家族」は、その2作とはまた違った意味で思い入れ、愛おしく、大好きな作品になった。

 

「奇跡」で描かれる兄弟。

僕の親が離婚する時、「お前は母さんのところに行くのかな」と兄に言われ、「そうなのかな」と答えた事を思い出す(結局二人共父親の方でしたが)。

オーバーラップしてしまい、主人公と同化する程に感情移入してしまい、涙を流してしまい、とても好きな作品だ。

 

そして父になる」で描かれる父親。

若くして子供が生まれ、若くして離婚し、僕らを育てた父親が、確かに「そして父になる」瞬間があった、と気付かされた。

テーマや内容に差はあっても、父親というものになるために努力していく主人公に、父親をどうしても重ねてしまう。

 

この2作品は、僕のフィルターを通り、客観的に判断出来ないほど好きになってしまった作品だ。

 

万引き家族」はどうだったか。

 

映画を観る時、主人公に感情移入する時、どうしても自分と比較したりしてしまう。

ただ今回は、一家全員に感情移入してしまうというか、少なくとも前半部分、この家族がずっと幸せであって欲しいと思い続けた。

 

確かにあった絆や、ビー玉のように儚い光を放った、ありふれた(普通から見れば異常だが)日々の情景を観る度に、深く切なく、楽しく、悲しく、辛く、色々な感情に揺さぶられた。

たまにゾッとするような大人の顔。反対に、健気で愛おしい子供の顔。その狭間で、どっち付かずの顔。

特に、上から撮影された、「花火の音を聞きながら空を見上げる」シーン。

ほかの全ての場面も、くっきりはっきりと記憶に刻まれる、美しい場面や、汚い場面だった。

 

言葉では言い表せないくらい、映画を観ていて幸せだった。これが映画なんだなあとしみじみ思った。

 

そして後半。「正しきこと」に言い返せない切なさが、安藤サクラさんの演技から痛いくらい伝わり、それ以前の光景を共有してしまっているから余計に、「あの時、あの場所で、あんたらは確かに楽しかったよ。幸せだったよ」と、心の中で呟いてしまう。

 

映画を観終わり、答えが出ないからこそ、考えてしまい、ずっと思い出してしまう。

またあの家族に会いたいと思ってしまう。

 

そんな、今までのものとは違った、愛おしい映画だった。

 

まだまだ書ききれてはいないと思うけど、とにかく素晴らしかったので、感想を残しておきたかった。

 

結局客観的に判断出来ないほど素晴らしく、大好きになってしまった。

BluRayを買います。

 

ついでに言うと、これを社会の負の側面だけだったり、政治だったり(これは全く関係ないことだと思う)に結び付けて論じるのは、よくわからなかった。

社会の負の側面、それもあるけど、それだけじゃないし、それだけだったらここまで描けない。

もっと重層的なことを語っている。もしくは、誰かにとっての普遍的なこと。

 

納得の出来ない批評を見てしまって、ちょっと苛立ちもした。

ただ単純に、これからも何度も何度も観たい映画なんです。