No.339 気付かれない詩
いくら何を言っても届かない
何を書いても響かない
そういうものなのだろうと
割り切って詩を書く
鉛筆 シャーペン ボールペン
筆や万年筆 そんなもので書いたところで
何も変わらない 詩は詩である
しかし それにこだわる馬鹿どもがいる
誰も興味はない お前の人生に
お前の落胆に 誰も振り向かない
そう感じながら 詩を書いている
キーボードはいつも正直に詩を書く
つまらない詩人は 大抵こだわっている
肉筆にこだわり 肩書きにこだわる
こだわらない詩人は いつも詩を書いている
こだわり過ぎる詩人は 詩人とも呼べない
文筆家と名乗る連中も
作家 物書きと名乗る連中も
詩人ではない 詩を書く者は詩人である
詩人はポエマーではない ポエットである
誰かへのメッセージを書いている奴らも
詩人ではない ただの自惚れだ
味付けされた幻想を押し付ける
幻想は ただ提示するものだと知らない
そして私は
昨日も今日も明日も
言葉を考え 並べる
誰かの通った道の上を歩くように 並べる
詩人でありたい 詩を書きたいと思い
気付かれない詩を 永遠に書き続ける
その他の 詩と呼びたくない文章を遠く眺めて
それに群がる馬鹿どもも 一緒に遠く眺めて
詩を書いている
私は詩人である
詩人は少ない 自然と仲間も少ない
誰にも届かないよう 誰にも気づかれないよう
石の裏で 排水溝の中で
カビたソファの裏で 押し入れの奥で
詩を書く 詩人でありたいと思いながら
書かなければならない詩を 書き続ける