No.301 幸か不幸か公園

 

 

蜘蛛の巣が髪に引っかかる

わしゃわしゃと払い除けようとする

後頭部に刺激が走ったかと思うと

ニヤけた蜘蛛が舌なめずりして木の上に逃げてゆく

 


彼は苛立って 小石を蹴ろうと踵を持ち上げる

後ろにあった石にぶつけ 骨が軋むほど痛む

まだ違和感のする右足を庇いながら

悔しそうにどこかへと消えてゆく

 


次に通り掛かった彼女は

前方を全く見ていない

下を向いてとぼとぼと歩いている

悲しげに見えたが かなり美人にも見える

 


白い肌に蝿が止まる 彼女は思わず自分に平手打ちをする

頬が赤くなるほど叩いていると気狂いに見える

道行く人は訝しげにそばを通り過ぎる

彼女は我に返り 今度は羞恥心に顔を赤くしている

 


男の子と女の子が歩いてくる

手を繋いで仲が良さそうである

その向かいから大きな犬が来る

リードを千切れんばかりに引っ張っている

 


犬が男の子の方へと突進する

女の子の手を離さないので 二人合わせて転ぶ

女の子が泣き始めて男の子を責める

男の子の方まで泣き始めて犬の飼い主が謝っている

 


ここにいると退屈しなさそうだが そろそろ帰るとする

とぼとぼ歩き始めると蜂がこっちへ寄ってくる

必死に避けたが 隣を歩いていた男にぶつかり

喧嘩を打っていると思われて 顔面を殴られる

 


蜂に刺される方がよっぽどマシなくらい腫れた頬でいると

さっき蠅に集られ 頬を赤くした女と遭遇する

彼女はこっちを見て こっちは彼女を見て

お互い大笑いしたあと 何故だか二人で喫茶店に行くことになる