No.292 詩

 

詩は何だろうと考え続けている

以前のように自分が書くものが詩かどうかはそれほど気にならなくなったが

身の周りの情報が少なくなり

他人の詩をほぼ読まない生活に慣れてかなり経ち

自分の中でも描きたいものが何なのかわからなくなってくると

詩は何だろう という考え方が少し変わり

「自分にとって」詩はなんだろうと考える

 

詩はずっと書き続けてきたものだ

かかった時間だけで言ったら 絵よりも長いかもしれない

物書きになりたかったわけでもなく

ただ書かなければいけないと思って書いていた

今はどうにか面白くしたかったり

新しいことをしてみようとする

でもそれはあらゆるジャンルでそうであるように

誰かの後追いになってしまう

それは仕方ないとしても

オリジナリティを信じていたい自分がいる

そこでもがき続けるのだろう

きっと そういう人が山ほどいる

 

自分が書く詩の説明はしたくないけれど

説明を聞いて面白がってくれたりもする

今書いているこの「詩」という詩は

 

ただの言い訳で

 

取るに足らない一個人の思いだ

 

少しわからなくなってきてしまった

僕は 詩を突き放した考え方で書きたいなと思っている

矛盾を飲み込み 無力感や虚脱感や虚無感を突き詰めていたつもりだ

けれど 明確なメッセージなんてものはない

それを入れたらつまらないと思ってしまっている

(そして 詩についての詩を書くと それは詩の説明になってしまっている)

 

説教臭い詩は書けないし 書きたくもない

とりあえず誰かと詩について語り 詩を書きたい

やり取りというものは案外大切なのだなということを感じている

詩は素晴らしいほど野原だ 草以外何も無い

そこに花を植えようとする奴ら

それを全て刈り取ろうとする奴ら

その他いろんなことをする奴ら

そして 呆然と立ち尽くして たまに寝転ぶだけの自分

 

みんな元気かな

自分は まあまあだ

 

詩を書きたいというぼんやりとした何かが

炎にも満たない けれど決して尽きない 何かが

読まれたいという 本当に小さな小さな願いが

実を結び 新たに野原を増やせば良い

 

力が抜けて ふにゃふにゃになり

何を書いているのかすらわからなくなった頃

何かの呪縛から解かれて

良い「詩」というものが生まれてくるかもしれない