うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.276 白い液体

 

 

くだらないことばかり考えていた

世の中の片隅で歩きながら

ビルはそっくりそのまま 夜に返された

裏側を見るには 登るしかない

 

 

月が見えない夜は

雲をしっかりと眺めて

不穏な気持ちになれたら

明日はきっと晴れるだろう

 

 

瞳を閉じても蠢く虫は

敵ではないと知りつつ

目玉を裏返して 瞬きをする

どこかへ行ってくれと

 

 

電車は時刻通り 駅に着いた

座った座席の下に忘れられた 女の鞄

その周りに白い液体が飛び散っていた

これはどういうメッセージだろう

 

 

くだらないことばかり考えていた

走り出した電車の中でも

草臥れたスーツとコートが

向かいの座席でとろけていた