うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.240 彼に会う

 

 

そこら中に充満している

人のにおい 思いにも似て

重たくのしかかる

人の多い場所は これだから

 


彼に会うために 電車を乗り継いで

ここまで来たけれど もう帰りたい

何を話すというのだろう

特に似ているわけでも無いのに

 


大きなキャリーバッグに足を轢かれた

小さな舌打ちで 鼓膜が破裂しそうだ

アイスクリームが溶けるスピードと一緒に

彼を忘れようとしている

 


約束の時間から一時間遅れて

彼はやって来た 不味い喫茶店

やっぱり何を話すわけでもなく

無言のまま 煙草を吸っている

 


それから夜になるまで

そうしていたけれど

帰る時になってやっと

彼に会う理由がわかった