うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.227 ジッポー

 

 

冷たい感触のジッポーを額に当てた

そして目蓋にも当てた 彼は疲れていた

それでも ある程度の達成感があった

一日を こうして終わらせたのだ

 


次の日の夜 彼は同じようにしていたが

煙草が切れ 買いに出るとバイクが止まっていた

そいつが今にも爆発しそうだったので

気を取られて石につまずいた

 


ジッポーがポケットから落ちた

彼はそれを拾うと 街灯の下で照らし

大きな傷が付いていないか確かめたが

随分使っていたので傷は無数に付いていた

 


爆発しなかったバイクは持ち主を乗せて

音を立てて走り 見えなくなった

彼はいつも以上に足を引きずりながら歩き

煙草を買って すぐに火を付けた

 


風のせいで火が揺れ動いて

煙草から逃げようとするので諦め

一本を箱の中に戻すのに苦戦した

一日を こうして終わらせたのだ

 


彼は 次の日の朝に目覚めると

枕の下にジッポーがあることに気が付いた

煙草はポケットの中に入れてあった

冷えてもいないジッポーを額に当てた

 


窓の方を見ると 部屋に銃を構える男が立っていた

彼の目の前で 毅然とした態度でそうしていた

それでも 彼は煙草を咥え ジッポーで火を付けた

一吸いすると 男が引き金を引いた

 


彼のことをなんとも思っていない瞳で

しばらく見つめ 部屋を出て行った

昨日彼が見たバイク乗りは走り去っていった

一人を  こうして終わらせたのだ