うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.225 鳥

 

 

荒野に咲く一輪の花もいつか枯れる

彼はそう言って 昔の女を忘れた

海原に浮かぶビンもいつか誰かが拾う

彼はそう言って 新しい女を探した

 


虚しい日々 彼は気付いていたのに

考えを変えることもなく

忘れ続け 探し続けることだけを

生き甲斐にして 死に損なった

 


冷たくなった獣の死骸のように

別の彼は 誰にも心を許すことなく

海底で光を嫌う生物のように

別の彼は 誰にも姿を見せることなく

 


虚しい日々 彼は気付いていたのに

考えを変えるわけもなく

冷え続け 嫌い続けることだけで

生き長らえて 死に損なった

 


男たちを眺める女たちは

哀れみの瞳を向け 侮蔑の微笑みを浮かべた

その隙間を縫って 三人目の彼は

鳥のように羽ばたいて 全てを見下ろした

 


誰も彼の心を読むことは出来なかった

彼は何も言うことなく全てを見透かした

鳥のように羽ばたく女とどこかへ消えた

生きることも死ぬことも同じように感じながら