うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.216 ゴム

 

 

ありふれた一日に

少しだけほつれがあることを見つけた

彼はそわそわし始めて

何をするにも落ち着きがなかった

 


そのほつれは次第に大きくなってゆき

気が付けば彼と同じほどの大きさになった

するとほつれは彼を飲み込んで

この世ともあの世とも言えない場所へ誘った

 


それまで彼は イガグリで出来た壁に追われ

押し潰され 数ミリ感覚に模様が刻まれるようで

全ての物事から目を逸らす日々を送っていたが

今となっては ふわふわと軽やかで愉快だ

 


彼の風船のような命は破裂せずに済んだ

そして 文字通り風船のように浮遊した

大道芸人が良く作る犬が出来上がるまで

自分の身体を むぎむぎ と捻って遊んだ

 


彼は犬になった そして空も飛べた

地面や天井があるかもわからない空間を

たまに訪れる 吐息のような風に任せながら

行ったり来たり 気ままに過ごした

 


その誘われた場所が何処かわかる時まで

彼は小さな頃に見た大道芸人を真似た

花は簡単だったが 星は破裂しそうになった

彼は 破裂したらどうなるのか疑問に思った

 


しばらくして 彼は元の形に戻ろうと身体を捻った

鈍い音と甲高い音がして 彼は弾け 萎んだ

するとまた 少しだけほつれが生まれた

彼の破裂音に驚いた誰かが 彼の居た場所へ誘われた

 


慣らすように 丁寧に伸び縮みされ 軽やかになり

膨らんだ誰かは ほとんど彼と同じように過ごした

吐息のような風に任せて寛ぎ 宛もなく浮かび

むぎむぎ と幾つかの形に成り代った後に 破裂した