うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.213 灰色の烏

 

 

振りやまぬ雨の中に 灰色が映る

水溜りに沈みそうな 街の中で揺れる

そっと閉ざした傘を片手に

呆然と月があるはずの 空を眺める

 


金切り声をあげた ブレーキ音に

戸惑いを隠せずに 少しだけたじろぐ

塞ぎ込んでいたはずの 勇敢な涙が

野良犬に吠えられて 引っ込んでしまう

 


さて 困ったものだ と

頭を抱える暇も無い

このままでは 彼らは 彼女らは

この街から消え去ってしまう

 


威圧感を あれだけ大きく

まんまとぶつけられたのに

心無いブレーキ音が

何処か 懐かしく思える

 


振りやまぬ雨の中に 灰色が映える

水飛沫を上げて 空へと飛び立つ

閉じていた傘を 開いて閉じて

颯爽と 月が見える 雲の上を目指す

 


雨粒は降り注いで

身を揺らすほどに 冷たく突き刺さる

それでも 月の光に焦がれて

雲を裂いて そして 上へ 上へ と