うたもち現代詩

詩を書き連ねる場所

No.195 ひと夜

 

ひと夜 一人きりの雨に

濡れたガラスの破片が散る

石を投げたあいつのことを

忘れようにも風が吹く

 


穴の空いた心 貧しく光る

夢見心地の時は 静かに沈む

暖かな感情はマンモスのように

氷漬けにされて眠りに就く

 


「触れた指も 唇も あいつのために用意したわけではない」

投げられた石の軌道を辿って 雨が打ち付ける街灯の下

 


ひと夜 一人きりの涙が

溢れだして 鏡の向こう側に

石を投げたあいつは逃げていった

忘れようにも目に焼き付く

 


空になった心 貧しく鈍る

夢見心地でいた 静かな朝に

暖かな感情は生まれて 育って

深夜になれば眠りに就く

 


「守るべきものと 守れなかったもの あいつは全て壊した」

投げられた石を粉々に割って 雨が打ち付ける街灯の下