No.159 何よりも大切な時間

 

なんでもない朝に
盛大にクラクションが鳴った
僕は雨の降る街から隠れるように
眠る君の隣で煙草を吸っている

 

穏やかに流れる朝の時間が
もう少しで溶けて消えてしまうから
より近付いて君を覚えていよう
今日の夜にまた出会える時まで

 

二人で暮らすには狭すぎる部屋で
じっと耐えている毎日は少し長く
退屈と焦りを行ったり来たりしながら
不器用な僕らはたまに衝突したりする

 

それでも君が 君自身を愛せる時まで
僕はじっと待って 変わらずにいる
いつか君が君自身を愛せる時に
僕が君を愛していることを信じられるだろう

 

何よりも大切な時間が過ぎ去ってしまう
また流れの早い一日が始まってしまう
だからせめて眠る君をこの煙で包んで
夜になるまで何かから守っていたい

 

そうやって毎日を過ごしている
朝と夜 君といる時間ばかりを数える
そうやって毎日を積み重ねて
ゆっくりと僕らは出来上がってゆく