No.143 おろかもの
たくさんの頭で考えていた
たくさんの景色を思い出していた
少年と少女は 手を繋ぎながら
辿々しく ただただ 歩いていた
目まぐるしく流れた日々に
石を投げても自分に跳ね返って来て
硝子は割れることなく 少年と少女は
狭苦しい場所を歩いていた
言葉だけを並べても伝わらない
仕草だけを眺めても分かり合えない
二人は寄り添って そして離れた
枝についた葉がひらひらと落ちるように
悲しいことに 少年と少女は
別々の道を行かなければならない
それでも石を投げていた頃より
少しだけ広い場所を歩いている
「僕と君は変わらなければならない」
言い聞かせる歌は ただただ辿々しく
「いつかこの先で会えると良い」
別れの言葉を胸に 歩き続ける