No.134 雄弁な木々

(詩とは

 小さな物語?

 大きな世界?

 たったひとつのもの)

 

木々が雄弁になると

窓ガラスは黙り込む

 

僕は椅子に座って

そんな景色を見ている

 

冷えてしまったコーヒー

香りは出て来た頃より薄れて

飲む気力まで失せてゆくと同時に

僕は木々の語りに聞き入った

 

「何年前にここに来たかなんてことは忘れてしまったが引っこ抜かれた彼らの代わりに我々は植えられた」

 

そのことを僕は知っていたけれど

彼はあまりにも

真っ直ぐ 伸びすぎていたので

 

窓越しに

不味くなったコーヒーを飲み干して

僕は席を立つことにした