No.129 分別できない朝に


何色に染めても
黒く仕上がるなら
羽ばたく白い鳩も
いつかは染められてしまう

 

すがることさえ出来ずに
一人膝を抱えるなら
冷たく白い瞳も
いつかは気にならなくなるだろう

 

忘れてしまいたい全てを
忘れてしまった時に
大切なものと区別が出来ずに
思い出そうと必死になって

 

“黄金に輝く夕焼けと草原
いちばん星は雲のピアスに見える
夜が深まれば満天の星空
黒く染められた中で輝く星たち”

 

そんな夢を見ていた
曇り空が出迎える朝に
煙草の煙で膜をはり
自分を棄てる準備をする

 

ビニールの中で息が詰まり
吐き出そうとも吐き出せずにいる
冷えた布団は身体の一部になって
横たわれば何かを忘れている