No.123 猫 男


巨大な猫が捨てられたブラウン管から
飛び出して目に飛び込んでそれっきり
髭が生えて耳が頭の上に乗った男には
常に巨大な猫が喋りかけて付きっきり

 

「大丈夫か顔色悪いぞ頭痛いのか?」
「お前やけに息が荒いがどうした?」
男の心配は巨大な猫だけだったのだが
目薬を打っても涙のように流れるだけ

 

猫男になって行く彼の容姿の噂が流れ
少年の一行は彼を訪ねドアホンを押す
「お前ら構わないでくれ帰ってくれ」
面白がった少年たちは彼を笑っている

 

「美味そうなガキだ食べてしまえよ」
「お前はもう獣だしやがて俺になる」
巨大な猫がそそのかしても理性はある
彼は少年たちに菓子を配り機嫌を取る

 

食欲がぶくぶく膨れ上がり理性は揺れ
巨大な猫は得意そうに笑っているだけ
「お前ら構わないでくれ帰ってくれ」
舌舐めずりを抑えられずに理性は飛ぶ