No.121 六時

 

毎朝六時に目覚めて部屋の掃除をする
彼の心の中は散らかったままだったが
この行動で少しだけ整理されていって
有意義に時間を活用していると感じる

 

彼は寝つきが悪くて身体を壊していた
もう少し眠る方が良いのかも知れない
だが埃が徐々にちりとりにたまる度に
不安定さが安定に歩んで行く気がする

 

小鳥が鳴いているから朝食を食べよう
朝日が昇るから歯を磨きゴミを出そう
そうやって彼は周りのものに影響され
眠気を飛ばし部屋の中に漂わせている

 

昨日脱いだままの玄関の靴を並べ直し
一息つくとまた箒を持って掃除をする
彼の髪の毛は散らかったままだったが
有意義な時間を過ごしていると感じる

 

しかし彼は今日死ぬ運命だったために
車に轢かれる瞬間思い返すことになる
有意義な時間を無駄に過ごしていれば
この痛みも苦しみも恐怖も無かったと